「書」のままでは単なる紙切れ!書道の作品作り
前回、和紙に書を書くところまで終了しました。
書を習っているほとんどの人は、これで「完成」と勘違いしています。
日本の書道作品が、公募展で審査される目的で発展したことが背景にあります。
私は、紙に書いただけのアマチュアの書なんてお客からしたら無価値だと思っています。
だから、ここから「書」作品の正当な価値付けの作業に入るのです。
裏打ち
書に詳しくない人は「裏打ち」という言葉も知らないと思います。
書を書くと書いた部分と書いてない部分ができるので和紙が縮みます。
それを、作品にするために裏打ち専用の紙を糊で貼り付けてまっすぐに伸ばします。
(分厚い紙などは裏打ちしないこともありますが、ほとんどの書道作品では行います。)
裏打ちには「機械打ち」と「手打ち」があります。
■機械打ち
加熱により接着する糊の付着した裏打ち紙に大きなプレス機を使って貼り付けます。
小さいものならアイロンで可能で。1つ500円~が相場でしょうか。
裏打ちシートは市販もされています。 (参考)裏打ちシート
■手打ち
1枚1枚、糊を塗って貼っていきます。ピンきりですが、機械打ちの10倍~でしょうか。
100均の材料で十分可能ですよ。
色抜きしたベニア板が入手困難ですが、小さいものは窓ガラスでOKでしょう。
裏打ちした作品
裏打ち後(上)、裏打ち前(下)です。
まっすぐに書道作品が伸びています。
そして、墨の色も黒がより明確になっています。
いよいよ額装へ
額縁は1点1点決めていきます。
大体1点15分ほど必要で、以下の6点を決めます。
・額装の方法
・額縁のサイズ
・額縁のデザイン
・マットのサイズ
・マットのデザイン
・作品のカットサイズと場所
10点で150分(2.5時間)、40点なら10時間ほど必要です。
しかし、前述したように「正当な価値付け」作業なので、手抜きができません。
自分の作品作りと同レベルの大変な作業です。
額装は大体2週間程かかります。(額屋さんや時期、点数によります。)
額装の完成
こんな風になりました。
生徒からの要望は聞きますが、最終決定権は私に一任してもらっています。
過去は「自分で額装をしたい。」という人がいましたが今はいません。
この額装で7000円台以下です。
最初の作品で、このくらいの予算の額装で十分な作品価値が生まれます。
次は、いよいよ展示です!
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